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デザインコース ユニット2 | 目安: 120時間 (約1.5ヶ月)

Figmaを仕事道具に ― 速く・きれいに・直しやすく

趣味のデザインと仕事のデザインの違いは、「あとで直せるか」です。仕事のデザインは必ず修正が入ります。このユニットでは、修正に強いデータの作り方 ― オートレイアウト・コンポーネント・スタイル ― を身につけて、Figmaを趣味の道具から仕事の道具に変えます。

このユニットのゴール 部品 (コンポーネント) とルール (スタイル) で画面を組み立て、「1か所直すと全部直る」データを作れるようになる。

進め方の地図

やること 仕上がるもの
1〜2週目 授業1: オートレイアウト徹底 ボタン・タグ・カード・リスト・ナビ
3週目 授業2: コンポーネントとバリアント 状態違いつきのボタン部品
4週目 授業3: スタイル登録 自分のミニUIキット1枚
5週目 授業4: プロトタイプ (画面遷移) 動く2画面
6週目 月末制作 アプリ風の画面3枚 + 遷移
このユニットは操作の練習が中心です。読むより手を動かす方が10倍速く身につきます。例題は必ずFigmaを開いて、手順どおりに一緒に作りましょう。

授業1: オートレイアウト徹底 ― 中身に追従する箱

オートレイアウトは、「中の文字が増えたら箱も伸びる」「部品を足したら自動で並び直す」仕組みです。Step 4では体験まででしたが、ここではどんな部品でもオートレイアウトで組めるところまで練習します。順番に難しくなる5つの部品を作ります。

例題 (リードつき) | 文字が増えても崩れないボタン
  1. 文字を書く文字ツール (T) で「申し込む」と書きます。
  2. オートレイアウト化するその文字を選んで Shift + A を押します。文字のまわりに箱がつきます。
  3. 余白を整える右パネルで、上下のパディングを12、左右を24にします。
  4. 見た目を整える箱のFillにメイン色を入れ、Corner radius (角の丸み) を999にし、文字色を白にします。
  5. 追従を確かめる文字を「今すぐ無料で申し込む」に書き換えてみましょう。箱がついてくれば成功です。これがオートレイアウトの価値です。
うまくいかないとき: 箱がついてこない場合は、文字の幅が「固定」になっています。文字を選んで、幅の設定を「Hug (中身に合わせる)」にしましょう。
演習 1-A (リードつき) | タグ → カード → リストの3段

お題: 小さい部品から順に、入れ子のオートレイアウトを作ります。

  1. タグ: ボタンと同じ作り方で、小さめ (パディング4 / 12、文字13px) の「おすすめ」タグを作ります。
  2. カード: タグ・見出し・本文の3つを選んで Shift + A。縦並びになるので、要素の間隔 (Gap) を12、パディングを24にし、Fillを白、角を14にします。
  3. リスト: カードを Ctrl + D で3枚に複製し、3枚まとめて選んでもう一度 Shift + A。カードの間隔を16にすれば、縦リストの完成です。
  4. 追従を確かめる真ん中のカードの本文を3行に増やしてみましょう。下のカードが自動で押し下がれば成功です。
答え合わせ: 「オートレイアウトの中にオートレイアウト」が3段 (タグ → カード → リスト) になっていれば正解です。左パネルのレイヤー一覧で、入れ子になっているかを確認できます。
演習 1-B (ヒントだけ) | サイトのナビ行を組む

お題: 「左にロゴ、右にメニュー3つ」の横並びナビを、オートレイアウトだけで組みます。フレームの幅を広げたり狭めたりしても、ロゴは左端・メニューは右端に張りつくようにします。

ヒント: 横並びのオートレイアウトで、要素の間隔 (Gap) を「Auto」にすると、両端に押し広げる配置になります。このサイトのヘッダーも同じ構造です。

授業2: コンポーネント ― 1か所直すと全部直る

コンポーネントは部品の「親」を作る仕組みです。親からコピー (インスタンス) を何枚置いても、親を直せば全部に伝わります。50ページのデザインでボタンの色変更を頼まれたとき、コンポーネントなしなら50回、ありなら1回の修正です。仕事では「使えると便利」ではなく「使えないと困る」機能です。

例題 (リードつき) | ボタンを親子にして、伝わるのを見る
  1. 親を作る授業1のボタンを選んで Ctrl + Alt + K。レイヤー名の左に ◆ がつけば、それが親 (コンポーネント) です。
  2. 子を3つ置く親を Ctrl + D で3回複製します。子 (インスタンス) には ◇ がつきます。
  3. 親を直す親のFillの色を別の色に変えます。子3つが一斉に変われば成功です。
  4. 子だけ変えてみる子の1つの文字を「キャンセル」に書き換えます。これは その子だけの上書き (オーバーライド) になり、他には伝わりません。
  5. 使い分けを言葉にする「全部に効かせたい修正は親、その場だけの変更は子」と声に出して覚えましょう。
うまくいかないとき: 「親を直したのに変わらない子」がいたら、その子は先に同じ場所を上書きしています。子を右クリック →「Reset all changes」で親に戻せます。
演習 2-A (リードつき) | 状態違い (バリアント) を作る

お題: ボタンに「ふつう / マウスをのせたとき / 押せないとき」の3状態を持たせます。

  1. バリアントを増やす親ボタンを選ぶと、右パネルに「Add variant (+)」が出ます。2回押して、合計3つの状態を作ります。
  2. 状態ごとの見た目を作る2つ目は少し暗い色 (マウスをのせたとき)、3つ目は灰色 + 文字も薄く (押せないとき) にします。
  3. 名前をつける右パネルのプロパティ名を「State」、値をそれぞれ Default / Hover / Disabled にします。
  4. 切り替えてみる子ボタンを選び、右パネルのStateを切り替えます。1つの部品が3つの顔を持てば完成です。
答え合わせ: 本物のサイトのボタンにマウスをのせて、色の変わり方を観察しましょう。「少し暗くなる」が一番多い定番です。自分のHoverが定番に近ければ正解です。
演習 2-B (ヒントだけ) | カードを部品化して6枚のリストに

お題: 授業1のカードをコンポーネントにして、子6枚のリストを作ります。その後「角の丸みを14から8に変更」という修正依頼が来たと想定して、1回の操作で6枚全部を直します。

ヒント: 修正は親に対して行います。6枚を1つずつ直し始めたら、コンポーネントの意味がなくなっているサインです。

授業3: スタイル登録 ― 色と文字に名前をつける

「メインの青、どれだっけ?」と毎回スポイトで探すのは、時間も精度も失います。色と文字の設定に名前をつけて登録しておくのがスタイルです。登録した色を変えると、その色を使っている場所が全部変わります。コンポーネントが「部品の親子」なら、スタイルは「色と文字の親子」です。

例題 (リードつき) | パレット3色と文字3階層を登録する
  1. 色を塗った四角を選ぶユニット1で作った自分のパレットの色で、四角を1つ塗ります。
  2. 色スタイルにする右パネルのFillの右にある、点が4つ並んだアイコンをクリックし、+ を押して「base」と名前をつけます。同じ手順でmain・accentも登録します。
  3. 文字も登録する本文設定 (16px / 行間170%) の文字を選び、文字パネルの同じ4点アイコンから + で「body」を登録します。見出し (28px / 太字) を「heading」、補足 (13px) を「small」として登録します。
  4. 使ってみる新しい四角を描き、Fillの4点アイコンから「main」を選んで塗ります。探さず・ぶれずに塗れるようになりました。
  5. 全体修正を体験するスタイル「main」の色味を少し変えてみましょう。mainで塗ったすべての場所が一斉に変われば成功です。
演習 3-A (リードつき) | 登録スタイルだけでお知らせページを組む

お題: 「夏祭りのお知らせ」ページを1枚、登録したスタイルと部品だけで組みます。スポイトでの色選びと、その場での文字サイズ変更は禁止です。

  1. 骨格をグリッドで決めるユニット1の12カラムグリッドを引きます。
  2. 文字はスタイルから見出しはheading、本文はbody、日時などの補足はsmallを使います。
  3. 色もスタイルから背景はbase、見出しまわりはmain、「申し込みはこちら」ボタンだけaccentにします。
答え合わせ: できたページの色数を数えましょう。3色 + 文字色しか使っていなければ合格です。「制限があるほど、まとまって見える」を体感できたはずです。
演習 3-B (リードなし) | 自分のミニUIキットを1枚にまとめる

お題: ここまでに作った部品とルールを、1つのフレームに整理します。内容は「色3つ (名前つき)・文字3階層・ボタン (3状態)・タグ・カード」です。これは小さなデザインシステム ― あなたの最初のルールブックです。ユニット3以降、ずっと使います。

授業4: プロトタイプ ― 紙芝居を動かす

カンプを「押したらどうなるか」までつなぐと、プロトタイプ (動く試作品) になります。作る前に動きを確かめられるので、実装してから「思っていたのと違う」と作り直す事故を防げます。お客さんへの見せ方としても最強です。

例題 (リードつき) | 一覧 → 詳細の2画面をつなぐ
  1. 画面を2枚作るF でスマホサイズ (iPhoneなど) のフレームを2枚作ります。1枚目にカードのリスト (授業2の部品)、2枚目に「詳細ページ」と大きく書いておきます。
  2. Prototypeタブに切り替える右パネル上部の「Prototype」をクリックします。
  3. 矢印でつなぐ1枚目のカードを選ぶと右端に ○ が出るので、ドラッグして2枚目のフレームまで引っぱります。青い矢印がつながります。
  4. 動きを選ぶ出てきた設定で「On click → Navigate to」になっていることを確かめます。
  5. 再生する右上の ▶ (再生ボタン) を押すと、本物のアプリのように操作できます。カードを押して2枚目に飛べば成功です。
演習 4-A (ヒントだけ) | 戻れるようにする

お題: 詳細ページに「← 戻る」ボタンを置き、一覧へ戻れるようにして、往復できる2画面にします。

ヒント: 行きと同じ要領で、戻るボタンから1枚目へ矢印を引くだけです。「Back」という専用の動きを選ぶ方法もあります。両方試して、違いを観察しましょう。

月末制作: アプリ風の画面3枚 + 遷移

月末制作

このユニットの総まとめとして、スマホアプリ風の画面を3枚デザインし、プロトタイプでつなぎます。お題は「お薬リマインダー」「事業所の日報アプリ」「読書記録アプリ」から1つ選びます (自分のお題でもOKです)。

  1. 画面構成を決める定番は「ホーム (一覧)」「追加・入力」「完了・詳細」の3枚です。紙に手描きのラフを描いてから始めると迷いません。
  2. ミニUIキットで組む演習3-Bのキットの部品とスタイルだけで3画面を組みます。足りない部品が出たら、キットに追加してから使います。
  3. 遷移をつなぐ「ホーム → 入力 → 完了 → ホーム」が一周できるようにプロトタイプを設定します。
  4. 修正に強いかを自己検査する「メイン色を変えて全画面が変わるか」「カードの親を直して全部に効くか」を実際に試します。これがこのユニットの卒業試験です。
  5. 発表する▶ で再生しながら、「目的 → 案 → 理由」でスタッフに説明します。
見本がほしいとき: Figmaの「Community」(ホーム画面の左メニュー) で「mobile app UI」と検索すると、世界中のプロのデータを無料で開けます。中身のレイヤー構造を見るだけでも、ものすごい教材です。

つまずきやすいポイント

オートレイアウトが暴れるとき: 大きい箱から作ろうとすると混乱します。必ず「一番小さい部品 → それを包む箱」の順、内側から外側へ組みましょう。
「便利さが分からない」と感じたら: それは作るものがまだ小さいからで、正常です。月末制作で画面が3枚になったとき、部品とスタイルの便利さは体感に変わります。

発展チャレンジ (余力のある方へ)

発展チャレンジ
  • Googleの「Material Design」(マテリアルデザイン) は、世界最大級の公開デザインシステムです。ボタン1つに何が決められているか、のぞいてみましょう。
  • Figmaの「Variables (変数)」機能を調べてみましょう。スタイルのさらに一歩先で、「ライトモード / ダークモード」の切り替えなどに使われています。
  • 月末制作の3画面に、4枚目「設定画面」を自分の判断だけで追加してみましょう。キットが育っていれば、驚くほど速く作れるはずです。

できたチェック