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フロントエンドコース ユニット6 | 目安: 160時間 (約2ヶ月)

卒業制作 ― 企画から公開まで、一人で完走する

最後のユニットには、新しい文法は出てきません。代わりに、実務で一番大事な力を練習します ― 決めて、割って、作りきる力です。お題は自分で決め、2ヶ月後に「公開URLつきの自分のアプリ」を持って卒業します。

このユニットのゴール 自分で企画したWebアプリを、設計 → 実装 → テスト → 公開まで完走し、README とポートフォリオにまとめて発表する。

進め方の地図

やること 仕上がるもの
1週目 授業1: 企画 ― 何を作るか決める 企画シート1枚
2週目 授業2: 設計 ― 作る前に割る 画面・データ・週計画の3点
3〜6週目 実装 ― 週ごとのマイルストーン 毎週、動くデモ
7週目 授業3: テストと磨き 検査済みのアプリ
8週目 授業4: README・ポートフォリオ・発表 公開URL + 発表。修了!

授業1: 企画 ― 小さく決める勇気

卒業制作の成否は、企画の大きさでほぼ決まります。合言葉は「最小で動くもの (MVP) をまず作り、余った時間で育てる」です。

例題 (リードつき) | 企画シートを書く
  1. お題を選ぶ迷ったら、この候補から選んでOKです ― 服薬・体調の記録アプリ / 事業所の作業手順ガイド / 持ち物チェックアプリ / 学習時間の記録と振り返り / 家計のミニ記録帳。自分や身近な人の困りごとが、一番語れる題材です。
  2. 4行で企画にする「①誰の ②どんな困りごとを ③どう解決する ④完成の証拠は何か」を1行ずつ書きます。例: ①薬を飲み忘れがちな自分の ②飲んだか思い出せない不安を ③朝昼晩のチェックと記録で解決する ④1週間分の記録が見られたら完成。
  3. 機能を2つの箱に分ける「ないと成立しない機能 (最大3つ)」と「あったらうれしい機能 (いくつでも)」に分けます。前者だけがMVPです。
  4. スタッフに見せて1回削る企画は必ず膨らみます。第三者に見せて、最初に1回しぼんでおくのが完走の保険です。
技術の制約 (大事): GitHub Pagesで公開するため、データ保存はlocalStorage、外部データは無料の公開APIまで、が今回の道具立てです。ユニット5のサーバーを使いたい場合は、「手元デモ + 画面録画」での提出もOKとします。

授業2: 設計 ― 作る前に割る

例題 (リードつき) | 設計3点セットを作る
  1. 画面リスト紙に画面の手描きラフを描きます。MVPなら、たいてい1〜3画面に収まります。収まらないなら企画が大きすぎる合図です。
  2. データ設計アプリが扱うデータを「オブジェクトの形」で先に決めます。例: { date: "2026-06-13", time: "朝", taken: true }データの形が決まると、コードの半分は決まったも同然です。
  3. 週計画4週の実装期間に機能を割り当てます。定番の順番は「3週目: 画面の骨組みと表示 / 4週目: 追加・保存 / 5週目: 一覧と振り返り / 6週目: 予備週 (遅れの吸収と磨き)」。予備週を必ず置くのがプロの計画です。
  4. 毎日の回し方を決める「作業の最初にToDoを3つ書く → 終わりに1コミット + 明日の最初の一手をメモ」。明日の自分への申し送りがあると、再開のハードルが激減します。

実装の4週間 ― 完走のための約束

3〜6週目は実装に没頭します。守る約束は4つだけです。

  1. 週の終わりに、必ず「動くもの」を見せる未完成で構いません。「今週はここまで動く」を毎週スタッフにデモします。動くものを軸に進むと、迷子になりません。
  2. 15分ルールを使う詰まったら、エラー文とコードをAIに貼って前に進みます。卒業制作は「調べながら作る練習」でもあります。何をAIに聞いたかをメモしておくと、発表の良い材料になります。
  3. スコープを切る勇気を持つ遅れたら、機能を削ってMVPを守ります。「削る判断ができた」は、発表で堂々と語れる実務スキルです。
  4. 毎日コミットする区切りごとに add → commit → push。コミット履歴は、あなたの2ヶ月の航海日誌になります。

授業3: テストと磨き ― 他人の指は最高の検査機

例題 (リードつき) | 出荷前検査をかける
  1. 検査ケース表ユニット4の型で「正しい操作・変な操作・空っぽの状態」の表を作って全部試します。特に「初めて開いたとき (データゼロ)」の画面は、作者が一番見落とす場所です。
  2. Lighthouseアクセシビリティ90点以上に整えます。
  3. 他人テストスタッフか他の利用者さんに、説明なしで2分間使ってもらい、詰まった場所をメモします。1か所だけ選んで直します (全部直そうとしないこと)。
  4. スマホ実機テスト公開URLを自分のスマホで開き、タップの気持ちよさまで確かめます。

授業4: README・ポートフォリオ・発表

作品は、説明がついて初めて「見てもらえる作品」になります。READMEは、リポジトリの玄関に置く説明書です。

例題 (リードつき) | READMEの定番構成で書く
  1. README.mdを作るリポジトリ直下に置くと、GitHubが自動で表示してくれます。構成はこの順です ― アプリ名とひとこと / スクリーンショット / 公開URL / 主な機能 (3つ) / 使った技術 / 工夫した点 / 作者。
  2. スクリーンショットを貼る画像をリポジトリに入れて ![画面](screenshot.png) と書きます。README に画像があるだけで、読まれる確率が大きく変わります。
  3. 「工夫した点」は4行の型で課題 → 考えたこと → 工夫 → 結果。デザインコースの作品説明と同じ型 (pd-06 参照) が、コードの世界でも通用します。
  4. ポートフォリオページを作るこれまでの作品 (模写・3作品のはしご・ToDo・掲示板・卒業制作) をカード一覧にした1ページを作り、GitHub Pagesで公開します。あなたはもう、この程度のページは半日で作れるはずです。
  5. 5分の発表構成は「①企画 (誰のどんな困りごとか) → ②デモ (2分) → ③工夫と苦労 → ④削った機能と、次にやりたいこと」。④まで話せる人は、現場で計画を任せられる人に見えます。

発表会 ― そして修了へ

卒業制作の提出

発表を終えたら、コースのページの「コース修了のチェック」5項目を確認しましょう。全部にチェックがついたら、フロントエンドコース修了です。10ヶ月前、コピーしたコードを1か所変えるのにも緊張していた自分を思い出してください。いまのあなたは、企画から公開まで一人で運べる人です。おめでとうございます。

修了後の道: Goalページの「卒業後の道」へ。実務未経験可の求人・クラウドソーシングの小さな案件・A型での実案件、どこへ出しても恥ずかしくない「公開URL + README + 緑の草が生えたGitHub」が、もう手元にあります。

つまずきやすいポイント

途中で企画がつまらなく感じたら: 制作の中だるみは全員に来ます。乗り換えたくなった企画のアイデアは「次回作メモ」に書いて、今の企画はMVPまで完走しましょう。「完走したことがある」は、何よりの自信と実績になります。
完成度に自信が持てないとき: 比べる相手は世の中のアプリではなく、10ヶ月前の自分です。そして採用側が見たいのは完成度より「過程を語れるか」です。航海日誌 (コミット履歴) が、あなたの味方です。

発展チャレンジ (余力のある方へ)

発展チャレンジ
  • 卒業制作に「あったらうれしい機能」を1つ足して、v2としてリリースしてみましょう (GitHubのRelease機能も調べてみましょう)。
  • JavaScriptのフレームワーク (ReactやVue) の入門ページを読んで、「自分の卒業制作をReactで作るとどこが楽になりそうか」を想像メモにまとめてみましょう。次の学習の地図になります。
  • TypeScriptという「型のあるJavaScript」を調べてみましょう。求人票によく出てくる名前の正体を知っておくと、進路の解像度が上がります。

できたチェック